TRAIN協会 第1回講演会
第1回講演会開催にあたって


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TRAIN協会運営委員会
委 員 長 土 屋 俊

TRAIN協会(A-TRAIN)は、本年3月に発足した団体で、東京および周辺地区の大学等で、計算機ネットワーク、インターネット接続に関係している人々の間の相互啓蒙、情報交換を目的としています。このような団体を設立することが可能となった背景には、1992年に発足し、わが国におけるインターネット構築の推進役を担ってきた「東京学術インター・ネットワーク(TRAIN)」がその歴史的使命を全うして1999年に解散するに至ったという遺産があります。A-TRAINはそのあとを受け、ややもすれば、民間・商業ベースでの展開が主流となったインターネット環境のなかで、高等教育と学術研究を目的とするネットワーク利用の先端を探究することを使命としているといっていいでしょう。

今回の講習会は、これからの大学が地域と社会に対して情報を開示、公開する責任をもっており、このことがインターネット環境に依存する度合が強いこと、そして、インターネット環境一般の飛躍的向上によって、逆にそのような情報公開を実現する際に「セキュリティ」という要素を考慮することが要求されるようになったことという2つの認識を前 提として本年3月のA-TRAIN発足の際に企画され、実現するに至ったものです。第1回という手探り状況の中で、忙しい業務を縫ってこのように充実した企画を実現してくださった実行委員の先生方、また事務局のみなさんに感謝したいと思います。

A-TRAINは、このようにインターネットのなかの情報交流のための組織として有志によって運営されています。今、こういう問題について意見と情報を交換しあいたいという大学関係者には是非、積極的に運営にご参加いただき、現代の高等教育機関が必要としている技術と知識を拡充していきたいと思いますので、このような講演会、チュートリアル、講習会の開催に関心のある方は是非ご一報ください。

さて、大学は、伝統的にさまざまな知識・情報の主要な生産地であり、また、教育という形でさまざまな知識・情報を消費する場でもあります。このような知識は、これからの情報化社会においてより広く共有されることによって、その社会がより豊かになることが期待されます。このなかで、インターネットの果す役割は重大です。とくに、インターネットが主として、大学・研究機関の研究上の手段であった1980年代までとは異なり、1990年代後半にインターネットが一般社会へ普及したことによって、インターネットを利用して、大学と社会が交流することが、社会全体にとって重要な情報流通ルートとなりました。しかし、日本ではそのルートは、主として大学側の怠慢によって、十分に機能させてきませんでした。ここ2、3年その重要性が認識されたのはよかったのですが、あわてて作ったいわゆる「公式ホームページ」はセキュリティ対策が優先事項ではなかったので、しばしば攻撃の対象となり、また、他サイト攻撃の踏台として悪用されることありました。このことが報道されることによって、大学のウェブサイトが提供する情報の信用が失われることも十分に考えられます。このようにして、大学のウェブサイト、とくに大学の責任で提供するサイトについては、社会の関心を引くだけの魅力を持つとともに、信用になるセキュリティを備えているということが当然のこととして要請されていると考えられます。この要請に応えようとしている方々の役に立つ情報を提供することが、今回の講習会の目的です。


詳細は a-train-proj1@a-train.org まで